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6.8. 自動アップグレード

Falcot Corp は多くのコンピュータを持っており、人手が足りないので、管理者は可能な限り自動でアップグレードを行うように努力します。アップグレード作業を担当しているプログラムは人間の介在がなくても実行されなければいけません。

6.8.1. dpkg の設定

既に言及した通り (補注GOING FURTHER 設定ファイルに関連する質問を回避する」参照)、dpkg を設定ファイルの交換時に確認を行わないように設定できます (--force-confdef --force-confold オプションを使います)。しかしながら、人間が入力する必要が生じる状況は 3 つ考えられます。具体的に言えば、APT 自身への入力、debconf が出す入力、パッケージ設定スクリプトのせいでコマンドラインから行われる入力です。

6.8.2. APT の設定

APT の場合は簡単です。つまり -y オプション (または --assume-yes) を使えば、APT の出すすべての質問に「yes」と答えたことになります。

6.8.3. debconf の設定

debconf の場合はより詳細に説明が必要です。設計当初から、このプログラムは関連性とユーザに表示される大量の質問および質問の表示方法を制御するように設計されました。そのため、debconf は質問に最小の優先度を設定するよう要求します。そして、最小の優先度を超える優先度を設定された質問だけが表示されます。debconf はユーザが回答しなかった質問は、(パッケージメンテナが定義した) デフォルトと同様に回答されたと仮定します。
他の関連設定項目はフロントエンドが使うインターフェースです。中でも noninteractive を選んだら、ユーザからの入力は完全に使用不能にされます。パッケージが有益な注意を表示しようとした場合、管理者にメールで通知されます。
debconf を再設定するには、debconf パッケージから提供される dpkg-reconfigure ツールを使ってください。従って、これを実行するコマンドは dpkg-reconfigure debconf です。ここで設定した値は、必要ならば環境変数を使って一時的に上書きできる点に注意してください (たとえば、DEBIAN_FRONTEND 環境変数は、debconf(7) マニュアルページで説明されている通り、インターフェースを制御します)。

6.8.4. コマンドラインインターフェースの取り扱い

ユーザに入力を要求する最後の要素は、dpkg が実行する設定スクリプトで、これは克服することが最も難しいものです。これに対する標準的な解決策はありませんし、無回答以外に良い解決策はありません。
一般的な解決策は、command </dev/null のように標準入力を /dev/null の空内容にリダイレクトすることで標準入力を抑制するか、プログラムに改行文字を送り続けるかです。どちらの解決策も完全に信頼できるわけではありませんが、通常はデフォルト回答が使われることになります。なぜなら、多くのスクリプトでは、応答のない場合はデフォルト回答を選択したことになるからです。

6.8.5. 奇跡の組み合わせ

上記の説明を組み合わせれば、小規模で比較的信頼できるスクリプトを設計することが可能です。これで自動アップグレードが可能になります。

例 6.4 非対話型のアップグレードスクリプト

export DEBIAN_FRONTEND=noninteractive
yes '' | apt-get -y -o DPkg::options::="--force-confdef" -o DPkg::options::="--force-confold" dist-upgrade